僕と俺

10/33
29651人が本棚に入れています
本棚に追加
/1609ページ
「おや?君は」 理事長の言葉に、先生は俺を睨みつける。 そして、何か思いついたのだろう得意そうに言った。 「この生徒は、私の教え子です。彼に、私の代わりに書かせますから大丈夫です」 急に胸を張って言う様子に、不審気な表情をするプレス達。 「理事長!通訳してください!こいつが私の代わりに書きますから大丈夫ですから!」 強い口調で言う先生に、俺は溜息をついた。 理事長は俺の方を見て言った。 『解いたのは・・・・・君だね?』 俺はニヤリと笑うと、そのままペンを持ち一気に記入する。 長い数式を記入し、最後の1文を記入し終わった時・・・・・。 プレスの1人が立ち上がり手を叩いた。 『ブラボー。素晴らしい。完璧だ』 それに呼応するかのように、次々にプレス達は歓声を上げて拍手をしたり、写真を撮っていた。 俺は、プレスの方を向いて言う。 『申し訳ありませんが、俺は未成年なんですよ。 ですから、写真や名前の掲載は避けていただきたい』 俺の言葉に、プレスの皆は頷いて言う。 『どうやら、本当に問題を解いたのは君のようだね』 フランス語で話しかけて来た彼に、笑顔で答える俺に先生は、目を見開く。
/1609ページ

最初のコメントを投稿しよう!