Crime-Destiny

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Crime-Destiny

 俺は、どこまで業を深めるつもりなのだろう。  銀の銃身が闇を照らす。  その向く先には悪の権化、吸血鬼。  ――血を吸わねば生きられぬ我々を、貴様ら人間が忌み嫌うのは仕方あるまい。  吸血鬼は言った。  その右腕と両脚には銀の杭が打たれており、彼はもう、身動きひとつ取れない。  彼は最後の吸血鬼だ。他の吸血鬼達は全て、俺と俺の仲間達が殺した。  俺達はエクソシスト。人々の平和を守る正義だ。  しかし、俺は納得出来ていなかった。  ――だが我々にも知性があり、人間にも理性がある。故に我々は、人間の血は吸わずに居たではないか。  その通りだった。  ただ、生き物の血を吸い、尋常ではない戦闘力を誇る吸血鬼を恐れ、人間は、彼らを根絶やしにするための作戦を実行した。  エクソシストは人々の平和を守る正義だ。  その守る対象に、化け物は含まれていない。例え彼らが悪ではなかろうと、危険因子になる可能性があるという理由だけで、退治しなければならない。  これが、俺の信じた正義なのか。  これが、人々を守るためにと身に付けたエクソシストの力で築き上げた結果なのか。  ――にも拘わらず、なんだこの惨状は! 貴様ら人間は、どこまで業を深めるつもりだ!  違う。こんなのは正義じゃない。  人間だからという理由だけでは正義になどなれない。これでは、俺は悪にしかならない。  ――呪ってやるっ! 化け物であるというだけで許されぬ存在となるのなら、せめて貴様も化け物であれ!! 贖罪の機会さえも無く否定された、我々の悲痛を知るがいい!!  銀の銃弾が、最後の吸血鬼を仕留めた。  俺が化け物になるという呪いと引き換えに、崩れてなどいなかった人々の平和は守られた。
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