プロローグ

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私の名前は栗原サラ。 今年、入社2年目の23才。 アイツらの悪口の通り、学生時代は勉強ばっかりしていた。 父が早くに他界し、一人娘の私を母一人で大きくしてくれた。 母の口癖は「勉強して安定した良い仕事に就きなさい」だった。 母に経済的な負担を掛けたくなかった。 物心がついた頃から、洋服はオシャレなものじゃなく、安いものを選ぶようになっていた。 大学は家から通える範囲で、一番学費の安い所に行くしかなかった。必然的にK大だった。 行かなくても良かったのだけど、私が大学に行くことは母の望みでもあった。 もちろん大学まで行かせてくれた母には、心から感謝している。 銀行に就職が決まった時、母はとても喜んでくれた。 今は家に十分にお金を入れることも出来る。 少しでも母に楽をしてもらえる。 母の負担を減らすことは、私の心の負担を減らすことでもあった。 私が母の経済的負担であったことは、間違いないのだから。
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