第13団体

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「やっと完成するのか」 「そうですね、やっとです」 しみじみとこれまでのことを噛み締めるようにポツリと呟くアノール。 「もう此処に来てから半年経つんですね……」 「僕、よく生き残れたなー」なんて遠い目で言っているところ悪いがまだ半年しか経っていない。 やることは山のようにあるしあくまでもそれも下準備に他ならない。 あの成金豚を殺してからは激動の毎日だったとしか言いようがないがまだ激しい程度で済んでいた。 毎日というか半日に一人、酷い時なんてきっかり六時間おきに送り込まれてきて俺の首を狙うお馴染みになってきた刺客や『ノーベルハイト』に巣くっていた大小様々な組織との抗争。 抗争の方は相手組織を呑み込めば呑み込む程にこちらも大きくなる利点があった分良かったが内輪の整理が色々と面倒くさかった。 それよりも更に面倒くさかったのは刺客の方だ。 これでもかといった具合に様々な方法で殺しに来たものだからもう大抵のことでは驚かない自信がある。 通り魔のような奴やすれ違い様にナイフを突き刺してくる奴やナイフの代わりに毒を流し込んで来る奴。 食事に毒を盛るなんてもう慣れてしまう程にやられた。 何度それでアノールが真っ青な顔で泡を吹いていたことやら。 寝込みに首を刈りに来る奴も居れば一騎討ちを望む猛者まで。 中には事故に見せかけて建物を崩して殺そうとしてきた奴までいる。 だがどんな方法、毒をもってしても当然俺が死ぬことはなかった。 どんな毒を喰らおうがどんな致命傷を負っても死なないことから『不死者』やら降り注ぐ矢の雨を叩き落とし、瓦礫の悉くを破壊しつく上に敵を一切の慈悲をかけることなく殺しつくすことから『鬼騎士』なんて呼ぶ奴までいる。 まぁそれで従順な駒が増えたから良しとしようではないか。 あとあえていうならば単に殺しに来るよりもハニートラップを仕掛けて弱味を握るかそのまま取り入ろうとした輩が居たけどねぇ? そういう輩の大半は内側がドロドロな腐った連中ばっかりだったよ。 まぁそいつらの末路はご想像にお任せする。
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