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見覚えのある扉の前で足を止める。
ここはたしかとてつもなく広いリビングの様な部屋だったと思う。
課長が躊躇なく扉を開けようとした時勢いよく扉が開いて何かが私に飛び込んできた。
その衝撃で倒れそうになる私を課長が間一髪の所で支えた。
「ねーさん何してんだよ」
突然の衝撃に目を瞑っていた私は何がどうなっていたのか解らなかったが課長の言葉で一瞬にして理解が出来た。
そう……。私に飛び込んできたもの、その正体は蜜兎さんだ。
「美由ちゃん!やっと覚悟決めてくれたのね」
嬉しいと私をぎゅうぎゅうと抱きしめる。
相変わらず蜜兎さんの力は健在だ。
「蜜……兎さん……。苦……」
苦しいですと声を出そうとするが出ない。
「おい。いい加減離せよ。美由が窒息する」
てめえの怪力把握しろよと課長は言いながら私と蜜兎さんの間に入る。
「お姉様に向かっててめえとは何よ!」
蜜兎さんの怒りが課長に向けられた事で私はやっと解放されゆっくりと息をはいた。
私が息を整えている間も二人の口論は収まらない。
言い合いをしている二人に挟まれ、ここを抑えようと課長に手を伸ばそうとした時だった。
「あなた達、入り口でいったい何を騒いでいるのです?」
救世主!いやお母様が現れた。その隣には蜜香子ちゃんが呆れた顔して立っていた。
お母様の登場に二人は口を噤む。
「二人ともいい年して姉弟喧嘩なんてみっともない。いい加減になさい」
お母様の声は穏やかに聞こえるが顔が笑ってない。逆にそれが怖くて私も委縮してしまう。
「ごめんなさいお母様」
蜜兎さんが先に謝り課長はばつが悪そうな顔をしていた。
お母様のおかげで無事に部屋に入り言われた場所に腰を下ろす。
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