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「無事に帰られた?」
受付に戻ると美咲が声をかけてくる。
藤森 美咲 25歳
総務部所属のいわゆる受付嬢だ。
彼女は会社では一番親しい仲で、プライベートでも仲良くしている。
親友と言える友達だった。
「うん。せっかく来ていただいたのにね。」
私が苦笑いで返すと美咲がいたずらっぽく笑う。
「でも、ゆいの顔見れたんだし、嬉しそうに帰ってたみたいじゃん。…案外、ゆいが目当てで来たんじゃない?」
「そんなわけないよ。ふざけないの。」
そこまで話して時間が気になる。
来客対応中は経理の仕事が中断されてしまって、急ぎの仕事の途中に呼び出されると、少しでも時間が惜しくなる。
「じゃ、行くね。」
私は美咲に手を振って、早足に経理部へと足を向けた。
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