紫陽花

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「ねぇユウ、まだ終わらないの?」 「ん~もうちょい」 「せっかくの日曜日なんだからさ、ゲームにかまけてないで私にかまってよ」 人の家に来てずっと漫画を読みあさってる彼女に言われたくはない。   ―メールだょ♪メールだょ♪―   「ユウ、メール」 「あぁ、取って」 ゲームを中断して彼女から携帯をもらう。 見たことのないアドレス。 「…チェーンメールか?」 そうひとりごちて、添付ファイルがないのを確認してメールを開ける。 From:×××@321.△△△.ne.jp 本文:佑介元気かい。    こちらは紫陽花の花が    綺麗な季節になりました。    梅雨の晴れ間は少しだけ    初夏の香りを感じさせます。    体をこわさないように。    おばあちゃんより。   「メール誰から?」 漫画を読みながら彼女が聞いてくる。 「婆ちゃん?から…」 「へぇ、お婆ちゃん…ってお婆ちゃんメールするの!?」 「…ぁあ、そうみたい」 「ぇえ!!すごぉい!もしかして初メール!?返事した?」 「いや」 「してあげなよ。お婆ちゃんきっと喜ぶよ」 「や、いいから」 「あっそぅ」 興味を削がれたのか、漫画に目を戻す彼女を横目に少しだけ面倒くさいと思った。
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