14週目

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「いや。鳥子も蝶子も、良い子に育ってくれたと思ってる。親馬鹿だけど、ふたりとも美人だし、どこに出しても恥ずかしくない。むしろ自慢」 何を言い出すんだか。こっちが照れる。 「ホント親馬鹿。そんなこと人様の前では言わないでよね」 そう言ったら、お父さんはハハハと笑った。 「なあ。鳥子」 「んー?」 「辛くなったらいつでも帰ってきていいぞ。お前と子供ひとりくらい、お父さんが面倒みてやる」 びっくりして隣を見たら、お父さんはわざと前を見て視線を合わせなかった。 「……今からそんなこと言って。縁起でもない」 「うん、まあ、そうだな」 「……でも、ありがとう。そう言ってもらえると心強い」 お父さんは黙ったまま前を向いて歩いている。 閉じこもるトイレもそばにないから、泣くのを我慢しているのかもしれない。 なんだか胸がじーんとなった。 無条件で受け入れてくれる家族がいるって、なんて心強いんだろう。 それだけで頑張れそうな気がする。 あたしはお父さんの腕に手を回した。 「お父さん。美味しいお汁粉食べに行こう」 少し目を潤ませたお父さんが驚いた顔で絡まった腕とあたしを見て、嬉しそうに笑った。 「おお。お父さんが奢ってやる」 「やった」 幸せだけど、ちょっと寂しい気分になりながら、あたしはお父さんと腕を組んで歩き出した。
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