ある満月の夜

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空を見上げれば、夜に浮かぶ満月。 「……綺麗……」 まるで、あの人みたいだ。 綺麗な金髪の、あの人。いつも眉間にシワを寄せていて、時々返り血が付いている人。 満月の夜は、好きだ。 あの人を思い出せるから。あの人を想えるから。 だから、満月の夜になると、こっそり寮を抜け出す。 俺が通ってるのは男子校で、封鎖された空間。年頃の男子達ばかりが集まっているため、同性愛が存在する学園である。 所謂ホモの集まり。 俺は元々ノンケなのだが、この学園の奴らに感化されたのか、男を好きになった。 だが、敢えて言おう!! 俺が好きな男は、あの人だけで、俺はホモじゃない!! ………まあ、そういうこと。 綺麗な金髪のあの人は、整った顔立ちの美形。対する俺は、平凡中の平凡。 俺は志島 海斗。名前まで平凡だろ? で、あの人は、近衛 空哉。カッコイイよなー。 釣り合うことのない、俺とあの人。だから俺は、遠くからあの人を見詰めているだけ。 あ、ストーカーではないよ? ただ好きなだけ。時々あの人を見れれば、俺は十分。
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