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私が住んでいた世界から、この境界学園へ飛ばされてもう一ヶ月たつだろうか。
いつものように学園の庭に設置してあるベンチに座り、たまたま通りかかった紅と燐火と一緒にお弁当を食べていた。
「燐火ちゃんのお弁当、美味しそうだね」
「シアちゃんのだっておい…うーん…」
「なんだか、コメントしづらい感じだね…」
二人は私のお弁当を覗いて苦い笑顔を見せる。
確かに、唐揚げは焦げてしまい墨に近い色をしており、目玉焼きは崩れて白身と黄身の交ざったアメーバ状の塊となり、まともに見えるのは白米と茹ですぎたブロッコリーぐらいだ。
私も苦笑いして軽い談笑を楽しみながらお弁当を食べ始めた。
「ねぇシア、学園には慣れた?」
紅に問われて私は首を傾げる。
「ん~…ちょっとは、慣れたかな。
でも苦手な人も一杯居るの」
「誰々~?」
興味津々といった様子で声を掛ける燐火に言っていいのか戸惑い、少し躊躇しながら話した。
「…居場所がなくて、ティアさんに学園に誘われてみたものの、入学の時に身体検査があったんだ…」
「うん、あるね」
「それで…先生が…私はヒトじゃないって言ったの」
「えっ?!じゃあじゃあ、魔族さんとか?」
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