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『残念だが、俺はアベルのように食べられるものを探し待ってくる事はできん。
…弱音を吐いている暇があるのなら立て、行くぞ』
呆れたような声。
しゃがみ込む私の腕を引き上げる。
『ーー』
が、
アモンが腕を引き上げ立たせようとするも、
私はすぐにヘナヘナとまたしゃがみ込んだ。
『…姫、いい加減にしろ。
食い物も水もない、
手に入るような場所でも無い。
欲しいのならこの荒野を出る事だ』
しゃがみこむ私を説得しようとアモンは話すが、
黙り込みボーッとしている私をみて、鼻で息をつき頭を抱えるようにして髪をかき上げた。
しゃがみ込む私の近くにあった岩に腰掛ける。
『よおし、いいだろう。
休憩だ、このクソ暑い中で良いんだな?』
アモンの言葉に私は答えない。
黙り込む私を見て、アモンはまたため息をついた。
膝に肘をつき頬杖をつく。
『ったく、
チマチマ休憩するよりも一気に進んで涼しい中休めばいいものを。
これじゃ余計に体力を消耗するだろうが』
アモンがそう愚痴っているのを横目に、
私はぺたんと尻をついて座り直していた。
額を伝い流れる汗を袖につけるようにして拭う。
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