プロローグ

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「禁児君……ごめんなさい。私、あなたに謝らなきゃならないことがあるの」 水族館でのデートの途中、アイスを買ってきた十八禁児(とうやきんじ)に向かって、霧島ミドリの口から何やら不穏な言葉が放たれる。 可愛らしいワンピースでオシャレをし、セミロングの髪を揺らす彼女の姿はいつもと同じ。 ちなみに、そのワンピースの中に素晴らしきナイスバディが隠されていることを、禁児は知る。 そう、これから二人でもっと愛を深め合っていこうと思っていたのだ。 しかし目の前の彼女は、今は悲しげな表情で瞳を潤ませている。 いったい何があったのだろう。 そんな禁児の疑問は、最悪の形で解決されることになった。 「実は私、余命があと一週間なの!」 「な、なんだってー!」 禁児が思わず叫びをあげる。 焦燥が、絶望が、彼の中を支配する。 「そんな、どうすれば、どうすれば君を助けられるんだ、ミドリちゃああ~ん!」 やっとのことでひねり出した問いだが、当の禁児は半泣きだ。 「でも、たった一つだけ私が助かる方法があるの!」 そこで放たれる奇跡の言葉。 それはまるで、天使の福音のように禁児の心にププッピドゥーと鳴り響いた。 「何だと!? それは、それは一体どういった方法なんだ!」 まるで掴みかからんばかりに、画面のすぐ近くまで顔を近づけて問い詰める禁児。 そんな彼に、美しきヒロイン霧島ミドリが放った言葉とは…… 「このQRコードにアクセスして、表示されるサイトに登録して欲しいの! そうすれば私の病気も完治するわ!」 瞬間、画面にデカデカとQRコードが映し出された。
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