泡沫

12/17
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「長年の出家の望みを叶えてやれなかったのが、申し訳なく…せめて今からでも髪を下ろして…差し上げたいと思うのだ…」  父は静かに、呟くようにそうおっしゃられました。 「物の怪の仕業でもあるならば、そうなさるのもよろしゅうございましょう…でも…すでに…事切れておしまいならば…もう、かいのないこと…」  声が震え、思うように話すことが出来ません。こんな、こんな形で終わりが来るなんて…。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!