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無幸
幸福な人が 嫌いだった
ありふれた日常に 頭までどっぶりと浸り
夢を追いかける夢を見て
美しいものを 美しいと言う
そんな幸福な人に囲まれて
私は絶望するしかなかった
不幸な人が 嫌いだった
不満や怒りをぶちまけながらも
慰め 支えてくれる人がいる
そんな不幸な人たちの涙に
孤独な私は 嫉妬した
業(ごう)だとか 運命だとか
そんな理不尽を許してきた
辛いと泣けばよかったのに
助けてと 叫べばよかったのに
強がる魂の圧力で 背骨は曲がり
もう元には戻らない
幸福でも不幸でもない私は
どこへ行けばよいのだろう
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