夢のあと

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サラは体が動かなかった。 ゆっくりと近寄ってくる背の高い男。その男は若く、顔も整っている。 銀色の髪を後ろにやり、オールバックという髪型で、見る限りかっこいい男性。 しかし人ではない。目の色だ。赤い目は血のようで、サラの髪を連想させる。そうでなくても、サラは人ではないとわかっていた。なぜかはわからない。 「サラ、君は私のものだ。」 男はにこりと笑い、優しい笑みを見せる。サラは口も開けず、立ち尽くしていた。 タキシードのような姿に黒いマントを羽織り、闇に溶け込むような黒ずくめの姿。銀髪と目が異様に目立つ。 サラは逃げたくても体が動かないのだ。そうしている間にも男はサラをマントで隠し、自分の方へ抱き寄せて……
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