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「上手く気配は隠してるけど、俺の眼には魔力の残留がばっちり見えてるんだよね」
と、振り返り青い空を見上げるアリエス。
それに反応するようにクラッドも空を見上げる。
すると、そこには一人の男が浮かび上がっていた。
長身痩躯には赤いコートが纏われており、黄金の髪に黄金のピアス、黄金のネックレスなど黄金色がやけに目立つ身なりだ。
白い肌に整った顔立ちだが、その表情はどこまでも人を見下していた。
「さすがは『聖神の帝』と言うところか?いやいや、個人的にはソロモン王と相まみえたかったが、これはこれでありか」
男はアリエスを見据えて小さく笑う。
「その魔力の質、随分変わってんな。冥界の奴か?」
「いかにも。冥界最高戦力『72柱』が序列第28番ベリス」
ベリスの言葉に、クラッドが目を見開いて反応する。
「『72柱』だと?まさか完成していたのか?」
「何だ知ってんの?」
「奴が言うよう冥界の最高戦力だ。かつて冥界に存在した四人目の王が作り上げた最強の兵器集団だ」
「四人目の王?まだいるのかよ…」
「安心しろ。あのお方はお前の味方だ。いや、あのお方だけは必ず最後までお前の味方でいるだろう」
クラッドの言い方は少しばかり違和感を感じずにはいられなかった。
『聖神の帝』にすら命令するような男だが、その者には強い敬意が感じられる。
クラッドにとって、四人目の王とは何者なのか。四人目の王とはどのような男なのか。
「ん?おやおや、誰かと思えばそこのお前はクラッド・アークではないか」
ベリスは腕を組みクラッドを見下ろす。
「裏切りのソロモン王の付き人がこんなところで何をしている?あぁ、追放されていたなぁ?」
「作り物の貴様らには関係ない。黙って三王の靴でも舐めてろ」
「負け犬の遠吠えか?貴様ら『聖神の帝』派は負けたのだよ、三王の前にな」
ベリスの言葉に、クラッドが拳を握りしめる。
だが、その横でアリエスが大きなため息を漏らす。
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