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ドアノブに触れた途端、バチッという音とともに、かすかな痛みを感じた。
たまらず、私はドアノブから手を離した。
おそらく、静電気であろう。冬特有の気分を不快にさせる現象。
もう一度ドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアノブを回した。
鍵はかかっていない。
恐る恐るドアを開け、中の様子を伺った。
真っ暗の事務所の中央に長机があり、その机上のライトスタンドの明かりだけが部屋に灯っている。
ぼうっとした明かりの中の長机の向こうに若い女の人の腕だけが見える。
その女性と向かい合うようにして、長机越しにイスが置かれている。
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