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「あ、ちょっとごめんなさい」
ママはそう言うと踵を返して、部屋を出て行く。歩きながら、空中に城の見取り図が載ったウィンドウを開いていたのが見えた。
「涼はどうしたのかしら?」
「念話が入ったんじゃないかな」
「…ママ…お客様とか…準備…仕切ってる…から…」
「じゃあ、あのウィンドウは……」
「ちょっと前に作ったって言ってたよ~」
「…メイドさん達…にも…同じの…渡して…るって…」
お客様がいる部屋にはチェックを付けたりして、(お客様の)名前も書き込んでおけるし、何かあったらママに念話で連絡出来るようになってるらしい。
「涼もまた凄いの作ったわね……」
「だって…」
「…ママ…だから…」
「慣れつつある自分が怖いわ……」
そこまで言って、葵さんは私達を見た。
「それにしても、あなた達は外見は涼そっくりだけど、性格は全然違うのね」
「よく言われる~」
「…妹が…そそっかしいから…私…しっかり…しないと…」
「私のせいなのシャル姉!?」
「…さぁ?」
「うわぁーん!」
涙目ですがってくるスズに明後日の方向を向いていると、葵さんがそれを見て笑っていた。
「仲がいいのね」
「…うん…」
「グスッ、うん、シャル姉もパパもママも大好きだよ」
あ、スズ本当に泣いてる。よしよししてあげなきゃ。
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