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――偶然にしては出来過ぎている……
そう思うが、さっきのことがあるだけに追求することができない。
悔しい思いで間宮くんを見ていると憎らしい事に「どーも」と私から目を逸らさないで会釈してきた。
私は負けじと微笑みながら会釈を返すと思いっきり彼に背を向け歩きだした。
あー、苛々する。
ビール2本じゃなくて3本にすればよかった、なんて思いながら帰路を急ぐ。
部屋で寛ぎながら温かいおでんと冷たいビールで喉を潤せば、このイライラも一日の疲れも吹っ飛ぶはず。
いくら偶然といえど、これ以上な偶然なんてあるはずがない。
なんて思うが、一応アパートの入り口をくぐるときに確認する。
でも、いつの間にか間宮くんの姿はなく、ホッとしたのと同時に何故か寂しさのようなものを感じてしまった。
「何を考えてるのよ……」
そんなことを感じてしまった自分に驚き、更に苛立ちが増してしまった。
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