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「鈴が死ぬ原因、『Cronus Play』を作った渡辺空が憎い。ワーウルフを取りこぼした怜が憎い。鈴の近くにいながら、救えなかった自分が憎い。鈴を救おうともしなかった世界中の人間が憎い」
感情を抑えることをやめた優の言葉は止まらなかった。
「なぜ、突然命を賭けなければならなくなった?今回のイベントで何人死んだ?渡辺空は何を考えている?…………思惑なんてどうでもいい。どうしてそれに鈴が巻き込まれなければならなかったんだ?いつでも明るく、優しく、人に恨まれることなんてまずなかったのに、こんなわけのわからないことで……」
優は涙を流しながら、ぽつぽつと言葉を零し続けた。
「……鈴が好きだった。初めて出会ったときから惹かれてた。今の俺があるのは鈴のおかげだ。俺の心は鈴のことでいっぱいだったのに…………もう、空っぽだ。何もない。"怒り"と"憎しみ"しかない。感情に任せて行動すれば、また周囲を傷つけてしまう」
「私がついてる」
「……………」
「あんたが誰かを傷つけたくないと言うなら、私がそれを止めてあげる。でも、今のまま立ち止まっているのは絶対に良くない。そもそも、あんたも私と同類で、考えるより行動するタイプの人間じゃないの?」
「でも……」
「私のことなら心配しなくていいさ。丈夫なことだけが取り柄だからね」
「…………」
「ああ、他にもこの美貌があったか」
ルイは笑いながら言い切った。
……決まったな。
まだ数回しか会ったこともない人間に対して、よくもそこまで献身的になれるものだ。
「…………どうなっても知らねえからな」
優の言葉遣いが変わった。
色々なものが吹っ切れたのだろう。
「来い」
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