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昼食を終えて店を出た。
や。ご飯のおかわりは自由だったが、おかわりはしなかった。
何故ならば、俺は張さんだからだ。
「じゃあ、俺はマチ子を渋谷に連行する。」
かほさんと千冬さんは宿泊ホテルにチェックインする為、ここで一旦お別れだ。
俺はマチ子が宿泊するホテルがあると言う渋谷に作業着マチ子を連行する。
東京から渋谷?通常ならば山手線で一本なのだが、今日は俺の為に新しい駅を作るとかで山手線が一部運休している。高輪ゲートウェイ駅だかなんだかっていう駅名だ。
素直に『張さん駅』にすれば良いのにな。俺の駅なんだからよ。
「マチ子。俺についてこい。」
通常のルートが使えないなんてのは非常事態だ。こんな時にマチ子1人で歩かせたら迷子になり、気が付けば札幌に居るだろう。
だから俺が先導してやる。感謝しろ。
ま、正直言えばだ。俺も都心の路線は言うほど詳しくねぇんだがな。
山手線が使えねえとなると、何を使えば良いんだ?
かほさんが新宿経由だと言っていたが。
「わかんねえから駅員に聞いてくる。作業着マチ子、ついてこい。」
「は…い。」
駅員に乗るべき路線を確認する為に駅員室へと向かう俺の後を必死の形相で追いかけてくる作業着マチ子。
そりゃそうだろう。マチ子を無視してスタスタと先に進む俺を人混みに揉まれて見失ったが最後。マチ子は東京の藻屑と化すのだから。
でっかいバッグを肩に背負い上げ必死に走るマチ子を視界の隅っこに捉えながら、俺は銃を突きつけて駅員に問う。
「渋谷はどこだ!?」
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