ようこそ森の熊へ

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「よし、ばっちりだな」 鏡の前で、青の制服にネクタイを締め、茶色のショートヘアーを整える。 そう。今日は高校の入学式。第一印象が大事な今日、俺は、入念に準備をしている。 俺の名前は天奈 学(アマナガク) よく、まなぶと間違われるががくだ。 中学時代、ケンカばかりでいい学生生活を送ってきたとは言えないおれ。 「ガク。父さんリストラされたから引っ越すぞ」 だから、この町に未練のない俺は、親父のそんな言葉も、素直に受け入れる事ができた。 リストラには驚いたが、肝心の親父も、学生時代からの旧友が開いた店で働く事が直ぐに決まった為に、リストラされた事に、それほどショックを受けていなかった。 「今日最後の仕事。父さんムカついたから、会社のトイレ流さず帰ってきたよ。あはは」 くだらねぇぇぇ! とまぁ、親父のリストラで引っ越した先は 森の熊 という、聞いた事のない場所。 そして、俺が行く高校が 森の熊学院 だ。 高校は静かに青春送りたい俺だったが、これから、中学時代の比にならない、ドラマの待った学院生活になろうとは、今の俺には知る良しもなかった。
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