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ロビーで待ってくれていた
陸と山崎。
「おまえ、貧血?」
「顔色悪かったですもんね、車酔いも酷かったし…」
山崎がそう言うと
陸が
"………あ"
みたいな顔で私を見た。
「……おまえ」
私は
椅子に腰掛け
精算に呼ばれるのを待つ。
「妊娠してるみたい」
陸と山崎が顔を見合わせる。
「誰の子?」
陸が私の前に立ち、私の肩を掴む。
「ATSUSHIじゃないんだろ?」
私が
返事をしようとしたら、
他の患者が私達に気付く。
「あれ、ほら、巡り愛の
主演の子し゛ゃない?」
「……………」
私達は目立たない端の席に移動
山崎が
複雑な顔をしている。
「ハル社長に、早く
伝えてあげましょう」
私は
首を横に振り、
「星野さーん」
と
呼ぶ窓口に
向かって歩いた。
ハルは
受け止めてくれるだろうか?
女優としても未熟で
たった一度、
抱かれただけで
妊娠してしまった、
二十歳になる私の
迷いのない決断を―
ハルの
薬物取締役違法の
罪をとう、
その裁判の
第一審
映画撮影も重なり
私は
行かなかった―――
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