きやがれ、妖怪

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日付が変わる頃、HMは夜の道を飛んでいた。 当然の事ながら、透明になっている。 「さーて、妖怪はいないかな。」 彼女もそろそろくたびれてきたようで、いい加減で帰ろうかと考え始めた。 その時。 道端に座っている女子高生二人。 「あの制服は・・・。」 本間と野木が通っている私立高校と同じ物。 「いずれにせよ、不良は処罰しなければいけません。」 HMは透明化を解いて、その二人に接近していった。 近付いてみると、何やら袋を持っているのが分かった。 「もしもし、そこのお二方。」 「は?」 二人は化粧を塗りたくった顔を見せた。 「何このガキ。チョーキモいんですけど。」 「マジ黒すぎ。センスわりー。」 すき放題言われながらも、HMは詰問した。 「あなた達、夜道を出歩くと大変な目に遭いますよお。」 「うっせーな、ガキのくせに。男待ってんの、うちらは!」 「その袋は何ですか?」 「薬だよクスリ。」 ああ、シンナーか。HMはすぐに察した。 「そーだ、このガキに吸わせようぜ。」 「あは、ウケる。ちょっと捕まえとくわ。」 「あー、酌量の余地なし。あなた達、お名前は?」 「知るか!」 「さっさと吸え・・・」 袋を持っていた方の腕をねじり、HMは懐から短刀を取り出した。 「こんな腕、あなたにはもういらないですよね。人生を捨ててしまったあなたには。」 その後、この場所で恐るべき惨劇が展開された。
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