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「詩子は社会福祉士のほかに精神保健福祉士の資格もあったよね。
だから、この病院を選んだんでしょ?」
「う、それは……」
そうその通り、なんだけど。
こんな地方の病院には珍しく、ここは一般外来のほかに心療内科外来が備わっていて、医者は常勤。
しかも評判もいい。
障害者といわれる人たちのなかでも、病気が表面に出にくく誤解が多い精神疾患患者たち。
ましてや季節が変わるたびに不安定になる彼らにとって、頼れる常勤の医師がいることはありがたいことだと思う。
そんな病院なら自分の資格が活かせるんじゃないか、って思って入職。
──したんだけど。
その担当医『小笠原 崇』は、病院一の風来坊だった。
突然どこかにいなくなるし。
無精ひげにだらけた白衣。
裸足にサンダル……。
自分が想像していたのとは違ってた。
もっと患者のためにバリバリ動く人だと思ってた。
まぁ、人間見た目じゃないし、あたしの勝手なイメージなんだけどね。
時々ふらぁ~っと院内を歩いてるとこなんか見かけると、覇気がなくて。
ほんとに評判の医者なの?って。
それより何より、まったくあたしのタイプじゃないんだよね。
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