新入りという名のもとに

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鉄格子をくぐり抜け新入りが始め に向かう場所は新入調査室だ。 ここで移送時に着ていた私服から 受刑者専用ユニフォームに強制的 に着替えさせられ、刑務所の中で 使用出来る物使用出来ない物を 選別する。 例えば、タオルや石鹸文房具等 拘置所で購入した物はOK。 不許可になる物は金品や危険物 受刑生活に必要性のない物は 領置といい施設に預かってもらう 事になる。 仕分けが終わったら電話ボックス 程度の大きさでできた木のボック スに入り静かに事の成り行きを 待つ。 そして幹部が来た。 平の刑務官(通称オヤジ)が 幹部の前に一人一人呼び出し 「気を付けぇ、礼。番号、氏名」 と叫ぶのに合わせて一連の動作を 行い「○○番○○です」と答える。 そして満期日の確認をする。 満期日とは、その日が刑の終了と なるので次の日に放免となる。 俺の満期日は平成18年7月19日 だったので次の日,20日が放免と なる。 真面目に生活していれば 仮釈放という制度があり満期日 より前に出所でき満期日迄の期間 保護観察の監視下社会生活し 満期日がくれば保護観察が解除さ れるという制度だ。 だが、刑務所は真面目だけでは やっていけない場所だ。 人間関係が左右する。 足の引っ張りあいなんて日常茶飯 事ましてここは犯罪傾向が進んだ 元気が取り柄の少年刑務所だ。 これから極道の世界で成り上がっ て行くのを野望にしている人間の 集まりだ。 安目は売れないとみんな必死に なっている。 俺も満期日の確認を終えて他の 5名俺も入れて6名が並ばせられ 幹部の訓示が始まった。 「君たちは今日からここで生活し てもらう。事件送致だけは起こす なよ喧嘩で怪我させたら問答無用 で事件送致だからなぁ。解ったか ぁ」 と脅しをかけられる。 俺たちは全員で 「はいぃぃ」 と返事を返す。 事件送致とは、文字通り裁判にか けられ大概刑期を増やすことに なる。 刑期が増えれば出所も遠退く。 だから事件送致にはなりたくない のが本音だ。 幹部の訓示が終わり舎房に移動だ 因みにこの幹部の役職は看守長 (第一統括)社会で例えるなら 課長クラスになる。 刑務所の運営はこのクラスから上 の役職の会議で決定事項を出す。 舎房は独居だった。
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