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ぽす
と音がしそうな位の勢いで、佐江の背中に重みがかかる。
振り向かなくてもわかる。
「りんちゃーん」
手を伸ばした佐江に触れる頬。
「あたり♪今ね充電中~」
由紀のその言葉に佐江は吹き出した。
「充電って(笑)どっちの充電?佐江の?りんちゃんの?」
佐江の耳元で、由紀のふふふという笑い声が聞こえる。
「ん?私も佐江ちゃんも充電必要でしょ?」
なんてあっさり言う由紀に佐江は少しびっくりした。
「あれ?もしかして佐江ちゃんは充電いらなかった?私だけー?」
顔が見えないのに、その拗ねたような言い方はずるい!と佐江は思う。
絶対に可愛く唇をとがらせているに違いない。
「んー。いらないかなぁ」
それが悔しくてそんなイジワルを言えば、背中がすっと軽くなる。
「佐江ちゃんイジワルだー。私は充電できたからいいもん」
振り向いて由紀の腕を掴もうとしたが、指先が触れただけで、するりとかわされた。
いじけたように椅子に座った由紀の背中に今度は佐江が近づく。
さっき佐江がされたように今度は由紀を背中から抱き締めた。
「やっぱ佐江も充電必要だよ、りんちゃん」
「もう。佐江ちゃん素直じゃないんだから」
小声でぶつぶつ言いながらも、由紀は佐江に素直に抱き締められている。
「うん、りんちゃん電池充電完了」
佐江が前に回ってきて、にっこり微笑み、由紀もつられて笑う。
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