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目覚めたりこは、自分の目から流れていた涙を拭った。
あの夢を見た時はいつもそうだ。
どうしようも無いと分かっていても、楽しかった記憶が強すぎて……。
頭を切り替えて、りこは襲い来る筋肉痛の痛みをこらえながら起き上がった。
今日は昨日以上に頑張らなくてはいけない。
これからは徐々に身体も鍛えておかないと……と思いながら肩を回す。
なるべく早く剣を返す事を第一の目的として、これから行動しようとりこは考えている。
そのためには自分自身が強くあり、効率的にお金を稼がなければならない事をりこはきちんと理解していた。
レベルが上がる事での身体能力の向上を宛てにするだけではいけない、という事も。
昔は、皆で魔物と対峙していたため目の前の敵を注意するだけで良かった。
しかし、もうそうはいかない。
これからは、たった一人で魔物を相手にしなければならないのだ。
今までとは違い、一層警戒しなければ命を落とす事になりかねない。
――せめて、再び“御堂りこ”として産まれるまでの時間を少しでも延ばしたい。
身体を軽く動かしながらりこは思った。
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