9 勘違いと予感

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思えば私の生活は、平凡そのものでした。 ただただ、電車に揺られて家と会社の往復。 会社ではとにかく笑顔、笑顔、笑顔……。 正直疲れた時用のお面でもあれば楽だと思うこともあります。 家に帰れば、妹と双子の弟のためにご飯を作り、あれこれ雑用に追われます。 『所帯染みている』 大学の時の彼氏にそう言われました。 父は私が15歳の時に病気で亡くなりました。 母は看護士の仕事をして私達を育ててくれました。 だから、長女の私が母を支えないと……。 そう思ってやって来たけど、恋愛にはとても縁遠い生活です。
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