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着いた……
本来の姿に戻ったマステアはきれいだ。しかし街の人たちは明るい顔をしていない。
それも仕方ない。悪魔が支配するこの世界は税が多く、生き物を好きに殺していいことになっている。悪魔の政治は血を求めているのだ。
特別な私の血なら、なおさらだ。
赤く目立つ長い髪をキャップにしまい、ローブを着て胸の膨らみを隠す。
見た感じ女の子みたいな男。サラが見つかりにくいようにするためには、こうするしか思い付かなかった。
今はサラはかなり有名人だ。悪魔に指名手配され、あちこちの街に写真が貼り出されている。
しかし人間は協力する気はないようだ。サラという女が誰だか知らないが、悪魔が指名手配している最重要人物……みんなはわずかな希望を抱いているのだ。
かなりの賞金がかけられているのだが、誰もサラに言い寄ってこない。
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