3話**向坂まどか

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起き上がらせるときに繋いだ手は柔らかく、小さかった。 「ほんと、危なっかしいな…」 向坂の歩幅に合わせて、学校からの道をゆっくり歩いて帰った。 「家はどっち?」 「あっちです」 「ふぅん…」 返答に不自然さを感じたのか、向坂は話し出した。 「篠崎くんはどっちなの?」 「俺のことは気にしないでいーから」 「えっ」 向坂が慌てている。 予想通りだ。本当に面白い。 「送っていくから…」 「大丈夫です!」 「…言うと思った」 「なんでー!だったら…」 「怪我人でしょ、本当はおんぶしたい気持ち押さえているんだから、送らせて…」 「おんぶ…」 驚いたように小さく呟くと、大人しくなった。 「…向坂って何年何組なの?」 「1年3組」 「そうだったんだ…近いね」 「篠崎くんは、1組だよね」 「うん…なんで知ってるの?」 驚いて、向坂を見た。 「……1組って、時々移動教室の時に被るから たまに、篠崎くんとすれ違うよ」 「ほんと…?!」 「うん」 とことん回りを見れていないんだなぁって思う。知らぬ間に接点があるなんて驚きだった。 今度はもっと回りを見てみよう。
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