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ギルーズは、人間と魔族の他エルフやドワーフ、竜人や獣人といった多種多様な種族が暮らす世界である。
魔力に満ち溢れ、全ての生き物が微量ながらも魔力を有するそこは、表面的には平和だった。
魔族達を束ねる魔王グレンは、春の日差しの暖かなその日、ふと疑問に思った。
「何故、人間達は他の種族に戦を仕掛けるのだ?」
魔王の側近、大臣であるハービィは、グレンの方が上司であるにも関わらず、思いっきり馬鹿にした目をして答えた。
「そんなの決まってますよ。自分達がギルーズの支配者だって勘違いしてるんです」
元々、グレンが魔王に即位したのは前魔王であるグレンの父が、グレンがまだ幼い頃に早死にしてしまったからだ。
そのため、周りの連中がグレンを甘やかして育て、グレンは世の中の事を何も知らずに生きて来た。
それを知っているからこそ、ハービィはグレンにそんな態度を取るのだが、いつまでも自分からそうした事を知ろうとしないグレンに対する嫌味の方が大部分だ。
グレン自身、それをわかっているから何も文句を言う事は無かった。
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