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姉ちゃんを見れば、
「いつ帰ってくるのよ」
俯いたまま、手を、膝の上で握りしめていて、
「いつ、あんたは帰ってこれるっていうのよ」
姉ちゃん?
小刻みに震える手は力を入れすぎて白くなっていた。
「あんたがしなないって言うならそれでいいわよ、しなないんでしょう?絶対。じゃあいつ帰ってくるの?」
姉ちゃんの言葉は、
「あんたの言うみんなって誰よ。あんな情けなくて頼りにならない奴らの誰を指してるっていうの?」
「ねえちゃ…」
「あんたを助けたのはあいつらかもしれない、でも守りきれてないのも事実でしょ?」
「ね…」
「そいつらと一緒に居たいって言うのは百歩譲って許していい。でも、あたし達は?」
まるで、
「…あたし達とは一緒に居れなくてもいいの?」
顔を上げた姉ちゃんは、ずっと、見せたことないような涙を流していて、
まるで俺が、ずっと姉ちゃん達と会えないというような口ぶりに違和感を覚えつつその瞳と向き合った。
「そんなことないよ?」
「嘘。あんたはあたしよりあいつらを選ぶ。あいつらが情けないから」
「情けないからなんて理由で選ぶことはしないし姉ちゃん達の家が俺の家なのは変わらないでしょう?」
「いつ帰るかもわからない家なんて家って言える?あたしがおばあちゃんになってもあんたが帰ってこなかったらどうすんのよ」
なんで、
なんで姉ちゃんがこんな風に言うかなんてわからない。
姉ちゃんは俺がしぬかもしれないって話しでなく、俺が帰れるか帰れないかってことを気にしてる。
どうしてか、
昨日、姉ちゃんが酔い潰れる前に何があったのか、
それとも、もっと前から何かあったのか、
俺が何かしたのかはわからない。…だけど、
姉ちゃんの手を自分の手で掴み指をほどく。
爪の跡がついたそこを撫でながら姉ちゃんと額を合わせた。
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