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 何だか身体の周りに薄い膜が張っているような、そんな朝でした。  万年床の煎餅布団も、いつものようなざらつく触り心地ではありません。  更には気温もいまいち判然とせず、嗅ぎ慣れた自分の部屋の臭いも分からず、朝食のクリームパンもスポンジを食べているような感覚でした。  ただ一つ、小さな音にも微細に震える膜によって、音だけが大きく聞こえてきます。  隣人が観ている朝の占い、ごみを持って鉄板で出来た階段を降りる足音、生活道路を通り抜けていく身勝手なプリウスのモーター音。  視覚以外を犠牲にして、僕はある朝。  膜を手に入れました。
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