第四章-ハッピーエンドとエクスカリバー

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「ほえ!? え? えーと、その怪我だいじょばないよね? だいじょーぶ?」 「だから大丈夫だって」  カスミがうわの空になるなんてらしくない。やっぱりもう限界だ。  しかし本人はそう思っていないようだ。 「いける、もうちょっとで倒せる。肢を一本折ってやったし、ミオさんの攻撃も結構効いてるはずだよ。疲れてるのは向こうも同じ、カイトも割りとよくやってるし、3人で協力すれば倒せるよ」 「魂喰らいと協力なんて笑わせないで、ここは駆除師の私が1人で倒してみせる。仲間のためにも」 「意地っ張りさんですね。敵討ちのためにもここは協力しましょう」 「勝手にして」  息を整えたミオが、後退していた足を止める。ゆっくりにじり寄っていたマカに向かって一直線に走り、一気に距離を詰める。  迎えるように大鎌が振り上げられて、障害物など気にせず薙ぎ払い駆除師を襲う。  上では無く前に跳んだミオが鎌を潜り抜け、連鎖して襲い掛かってきたカマキリに拳を叩きこむ。鎌に触れて血を流しながらの捨て身の一撃で、カマキリは失速して血溜まりに溺れた。  追走する俺がコンバットナイフで止めを刺して、ついにカマキリの駆除は終わった。 残るはマカただ一人。  接近を警戒したマカが後ろに飛んで、同時に大鎌を挟み込むように振るい、壁を引き裂き機械を両断して残骸の雨を降らせた。  不運にもティッシュ箱程度の大きさの瓦礫が左腕の傷口に当たり、悲鳴を上げそうになる。俺の人生でこんな痛みを伴う瞬間があるとは夢にも思わなかった。というか、カマキリの化け物と相対して戦う漫画のような展開があるとも思ってなかったけど。  実際に経験してみると、もうお腹いっぱいだ。早く終わらせよう。  再び倉庫に着地したマカに、ミオのリボルバーが火を吹く。体液を漏らす腹部に鉄の弾が追い打ちをかけ、鎌を盾にするマカが首を伸ばして大顎でミオを狙う。  人間など丸呑みにしそうな大顎にミオは怯みもせず、逆にこちらから手を伸ばすと口腔へ銃口を向けた。 「ぎゃあああ!」  残念ながら一発で弾切れになったが、普通の生物なら絶命してもおかしくない一撃を受けてマカは悲鳴をあげた。  充分過ぎる隙を得て、マカの腹部に滑り込んだカスミが残った中肢を掴んだ。剛力で中肢が折れ、関節から先が易々と切り離された。
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