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弾丸に内臓を掻き回されるよりも激しい痛みで涙が零れる。
激痛に泣き言を漏らす暇もなく、俺の体が引き摺り倒された。ミオがもたれかかるように俺の体の上に倒れ、その上を横薙ぎに振るわれた鎌が通り抜けた。
すぐに立ち上がりたいが痛みが体力を奪って動けない。覆いかぶさったミオも限界らしく、血走った眼で喘鳴を吐いていた。
鎌が振り上げられる。
このままだと2人仲良く串刺しだ。
でも動けない。気力も薄れ、死が目前に迫っているのに半分諦めた思考は動かない。
「きゃは」
短い笑い声のあと、今度こそギロチンとなった鎌が振り下ろされた。
鎌の切っ先が真っ直ぐこちらに向かう。
鈍い金属音が耳元で響き、あまりに重い振動に脳と胃が揺れて吐き気が込み上げる。
ギロチンは俺とミオを刺し貫きはしなかった。
落下する鎌の腹をカスミの飛び蹴りが撃ち抜き、強引に軌道を逸らす。
「浮気禁止!」
どこにそんな冗談を言う余裕があるのか、カスミは両手で俺とミオを引き上げる。無理矢理立たされたが、止まってる暇は無い。飛来するカマキリをリボルバーで迎撃して、横薙ぎの鎌をそれぞれ上下に躱す。
前へ前への動きが後ろへ後ろへに変化して、俺達はマカと距離を取った。
冗談を飛ばしたカスミの顔を覗くと、敵を睨む目は虚ろで力がない。相変わらず左手で腹部を押さえ、何かを我慢するように右手の中指を噛んでいた。
「逃げる手を探した方がいいかもな」
「逃げ場なんてないわ、この密室を作ったのは他ならぬマカなのよ。それに魂喰らいを前にして駆除師が逃げるなんて有り得ない」
「アイツをぶっ殺したい気持ちは一緒だけど、死んでから評価されても意味無いだろ」
「うるさい、マカが魂喰らいだった今、貴方の疑惑も再浮上したわ。私と並んで戦う異常な身体能力から見て、貴方も魂喰らいなんでしょう?」
「違うって、俺は冷静に戦況を判断しただけだ。もう限界なんだよ。なあカスミ」
後退しつつ、同意を求めて隣を見ると、目線をマカから俺へと移したカスミが熱い息で呼吸をしていた。目線の先を正確に追うと、左腕の痛々しい怪我を凝視している。
自分で見る気にもなれない傷口は真っ赤に抉れ、血ではなく肉と脂肪が滴っていた。再発した吐き気を喉の奥にどうにか飲み込む。
「カスミ? どうした? この怪我なら大丈夫だ、それよりなにか良い手はあるか?」
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