ファッキンday

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ファッキンday

 昨日から降り続く雨が気持ちを少し憂鬱にさせる。  もう秋も終わろうとしているのに気温が高く、私の革ジャンの中の湿度は不快感をもたらす。  そんな気分を吹き飛ばすために、駅の側のコンビニで買った500mlの発泡酒を取り出して、封を切った。  つまみにビーフジャーキーを買ったのを思い出して袋から取り出す。片手には発泡酒を持っていたから、封を歯で噛んで引っ張って開けた。  周囲の白い目に気づかない訳ではなかったが、素知らぬ顔でビーフジャーキーをかじりながら、発泡酒をグビグビやった。  昼まっから電車で発泡酒片手にビーフジャーキーをかじる非常識さに私の今している格好が相俟って周囲の注目と白い目をかっさらう結果となったに違いない。  その格好は、革ジャンに、何年も穿いてグレーになったブラックジーンズは原型を留める事を忘れてしまったかのような、尋常ではない破れかたをしている。マーチンの緑のブーツは手入れされた事はなく、爪先は擦れてキズキズになっているうえに少しカビていた。  私は白い目で見てくる奴らを一瞥して、羨ましいんだろ?と、心で呟き、鼻で笑った。  そして私はブルハのロクデナシⅡを思い出した。 ボクの着てる服が気に入らないんだろ? ボクのやりたい事が気に入らないんだろ? ボクのしゃべり方が気に入らなぃんだろ? ホントはボクのことがうらやましいんだろ?  私はアルコールが程好く回って気持ちよくなってきて鼻唄を歌う。  真島がソロで歌っていたHAPPY SONGSだ。今の私にピッタリの曲だ。  そうこうしているうちに目的の駅に着いた。  私は地下鉄に乗り換えて待ち合わせの地下鉄の改札口前を目指した。  駅に着くと待ち合わせには少し早い時間だった為に、そのまま上に出てすぐのデパートの中のヴィヴィアンに行く事にした。  確かあの人、もうすぐ誕生日だと言っていた。  私は黒くて丸い携帯灰皿をプレゼント用にしてもらった。ショップバッグにはヴィヴィアンウエストウッドMANのロゴの可愛いリボンが結ばれていた。  それを見て気分が幾らかよくなった。   
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