*blood rose*

2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
ガチャ カランカランッ 暗闇に光る目。 パッ シャンデリアが辺りを照らす。 貴方の目の前には1羽の梟が、器用に鳥籠の鍵を外して出て来た。 「おやおや……お客様とは珍しい。 探偵である主は就寝しておりますが? 違う?違うと申されましても、 あの店にはあと私しか居りません。 成る程、どうやら貴方は私に用事があるようですね。 心を満たすお話がお望みですか。 勿論、構いませんよ? では改めまして、私は梟、 名を八桜(ヤザクラ)と申します。 人間の感情、人間ではない者の感情。 人間の思考、人間ではない者の思考。 ありとあらゆる内面と呼ばれるものが聞こえてしまう者。 そんな私は今宵で千年回目の誕生日を迎えます。 不思議に思われるのも無理はございませんが、本当の事なのでございます。 だからこそ得た能力を駆使し、悩みを抱える全ての人に、その人に合った物語りをお話しする仕事をしております。 さて、今回は天宮23丁目で起きた甘くも切ない話。 人間である女性と血を憎むヴァンパイア。 彼の全てを受け入れた女性と同族殺しの罪を犯したヴァンパイア。 彼等の想いは貴方の目にはどう映るでしょうか。 滑稽?不幸?それとも……? 相手を大事にしたい心、 相手を思いやる気持ち、 貴方は押し付けていませんか? 自分が正しいと思えたその行動を、 愛した人にかけたその言葉を、 何故、 他人に共感して貰いたいのですか? この2つの恋の行方……、 貴方が描いたHappy endではなくとも、 彼等はきっと笑顔で幸せな毎日を 自分達の手で創っている事でしょう。 では、blood rose。 ~血に濡れた者の儚き恋の歌~ どうぞ、ご観覧あれ……。」
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!