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あと消毒だけする、と言われ体勢を戻した俺は、そうしてようやく治療を終えた。
そうして仲良く席につきいつも通りの夜食タイム。冷めててもさすが慶哉のご飯、とっても美味しく頂きました。
そうして慶哉と別れて寝に入る寸前。
アラームをセットして枕元に準備してあったケータイが唐突に震えた。
あれだよね、バイブの音って何気うるさいよね←
「……もしもし」
「凪?」
出た。
ついそう思ってしまった。
「凪、私になにか報告は?」
「はあ、唯ねえ、計画犯でしょ」
「あら、バレてたの」
しらっと言われたらなんとも言い返しようがない。
もっと焦ってくれたら良いのに。
「唯ねえが"天使"なんて分かりやすく言うから変だなーとは思ってた」
唯ねえからのメールは、常に名前をしっかりと出さない。
イラつくとこ、ちびっこ、レインボー、……ああ、天使はいつもは厨二だったっけ。
いやある意味わかりやすい。わかりやすいけども!!
ときたま変わるからわかんないんだって!
統一して!!
「まあ、その様子じゃバレたみたいね、あのキラキラくんに」
「キラキラくん……?」
「ああ、腐男子くん――瑠色くんのことよ」
「ああ、うん。主に唯ねえの所為でね」
「私の計画のお陰、でしょ?」
「誰もバレたいなんて望んでないし……第一、誰のために助っ人入ってると思ってるの!?」
「大好きなお姉様のためでしょう? それを言うなら、誰のために族を始めたと思ってるのかしら?」
「自分のためでしょ!」
「それは二割だけ! あと八割はあなたのために決まっているじゃない。凪総受け腐腐腐……」
「ちょっ、唯ねえ族始めたのって俺まだ小学生の頃じゃなかった!?」
「凪は小さい頃から才能があったもの。ここまで危機感のないまま育つとも思わなかったけれど」
「危機感?」
「私が過保護にしすぎたのかしら……いえでもあいつも……まあ近くにいたのがあの人たちだし……」
唯ねえがなにか言っているけど小さくてよく聞こえない。
「ああ、ごめんなさい。今日はまた呼び出しよ」
「……嫌だ」
「あら、私はどうなってもいいのかしら」
「……嫌な予感しかしない」
「酷いわね」
くすりと小さく笑い声。
「まあ正解よ。次の休み、シーソーで遊びましょう」
「だろうと思った」
俺はまた小さく溜め息を吐いた。
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