チャラ男とゲームと腐男子くん!

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俯せのままだとなにも見えず、ただ慶哉がなにかしている音を黙って聞いていた。 黙ったまま、というのもなんだか居心地悪く、取り敢えずなにか考えようと思考を巡らせる。 ……今日は色々あったなあ。 走って襲われて勝って追われて走って隠れて落ちてまた走って。 結果疲れた。 ……それもこれも瑠色くんの所為だと思うとイラッとする。 あ、瑠色くんのこと唯ねえに報告――はしなくても大丈夫か。 多分あの人、気付いてるし。 「湿布貼るぞ」 「はーい」 言われてまた声を出さないようにぎゅっと身構える。 「……凪」 「はい?」 「ズボン邪魔で貼れない。腰浮かせろ」 あ、そっか。 丁度ズボンのところにかかってるんだっけ。 「これで大丈夫?」 「……」 言われた通り腰を上げる。軽く四つん這いみたいな状態かな? うぅっ、腫れたところにゴムが食い込んで痛い……。 「い、痛いのやだ……そ、そっと! 優しく……して?」 「……」 い、痛いんだよっ! ゆっくり下ろして! 「……っ」 「いだぁっ!? なっなに!?」 「こっち見るな襲うぞ」 「襲っ!?」 な、なんか最近慶哉の口調が悪くなってきたような……。 襲うとかそういう類いの冗談も言うようになったし……。 「あんまからかうの駄目だから! 慶哉ファンに怒られる!」 「……俺のファンなら怒るわけねえ。ちゃんと見てるなら」 「? どういう意味……ひぁぅっ!!」 腰に急に冷たい感覚がきて思わず叫ぶ。 「声出すなって」 「いきなりやるからでしょ!?」 ほんとなら黙ってるつもりだったし!!
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