寝起きが不機嫌なのは皆、同じ。

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寝起きが不機嫌なのは皆、同じ。

ふと、意識が覚醒する。 最初に聞こえて来たのは、耳障りな周囲の笑い声。 妙に耳について、離れない。…不快だ。 状況の理解をするべく、むくりと起き上がる。 机に突っ伏して寝ていたようで、頬に少し違和感を感じる。跡がついてなければいいが。 机に広がっているのは、数学の教科書等の授業用具一式。 …ふむ。確か、数学は5限目だったはず。 現在時刻を確認。17:29。うん。間違いなく放課後だ。 …………………………。 なぜだ?6限目の意識がない。 いや、別に授業を受けなかったことに対しては、そこまで何か失意感を感じるわけではないのだが、 6限目を寝たまま過ごせたという事態に疑問を深める。 無意識のうちに腕を組み、未だ机の上に広がっている数学の授業用具を睨みつける。 「あ、桜木。起きたんだ。 …何してんのー?そんな怖い顔しちゃってー」 不意に、視界のなかに端正な顔が現れた。 同クラス在席、長田四草(ながた しぐさ)だ。 俺を覗き込むように、顔を傾かせる。同時に狙ったように彼の標準より長めの前髪がサラリと流れる。 色素が薄めの髪は日の光に反射して、彼の端正な顔によく映える。 …まぁ、コイツはそれすら計算し尽くして行動しているんだけどー…。 何も答えない、俺に不思議に思ったのか、またしても首を傾げる。 「…別に」 ぼそっと、返すと理解したのかまた、計算し尽くした笑みを浮かべる。
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