【声】を頼りに

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意識が戻る。いや、我に帰ったと表現したほうがいいのかもしれない。 「何処だここ……」 今の状況を、全く理解出来ない。 眼前には高く立派な山が聳え立つ。 服は真っ赤に染まっている。恐らく血だろうか。身体に殴られた痕や生傷があるが出血はしていない。 そして手に握られているこの刀だ。柄は使い古されたかのようにボロボロなのだが鞘は、とても綺麗だ。反射で自分の姿が見えるほど輝いている。だがこの刀に見覚えは無い。 「俺は……誰だ?」 記憶が、無い。覚えていない。 自分の名前も 何故ここにいるのか 何故怪我をしているのか この刀はなんなのか たくさんの何故や疑問が頭を駆け巡る。が、答えはもちろん、出てこない。 その時、【声】を聴いた。 「登レ………」
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