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「どうですか?おいしいですか?」
「おう」
俺の部屋には、だいたい2日に1度のペースで真菜が来る。そして、大抵いつも晩御飯を作って、俺に振舞ってくれる
何度も俺の部屋にやってくるのは、前と変わらないけど、彼女が「花嫁修業」とか言って、料理を作るとか言い出したときは、流石に驚いたものだけど、今となってはこれもすっかり日常になってしまっている
「…おう、じゃなくて、もっとこう具体的な感想を言ってくださいよ」
ちゃぶ台に頬杖をつきながら、彼女はふくれっ面になる
俺は、しばらく考え、そして目の前にあるこの料理、真菜特製トンカツを表すにふさわしい言葉をひねり出した
「小麦粉と豚肉の混沌としたハーモニーが鼻をくすぐり、その上にかかっているソースの味も、実に実直的である」
「結局、どうなんですか?」
首をかしげた彼女の頭を何となく撫でてやった。ちょっとだけ乱暴気味に
何故かこいつはこうされるのが好きらしく、最初は優しく撫でていたのだけど、最近はちょっと強めの方をご所望らしい
それを証拠にさっきまでちょっとだけ不機嫌な表情を浮かべていた彼女の顔が、だんだん緩まっていく
変なものに目覚めなければいいが、と少し心配になる今日この頃である
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