―放て―

13/85
26679人が本棚に入れています
本棚に追加
/688ページ
だが、そんな願いはすぐに却下された。 それどころか、捜査本部すら設けられてもいなかった。 殺人事件にも関わらず...だ。 遺体を鑑識にすら掛けてもいない。目視だけでファイルを作り、そのまま遺体は家族の元へと引き渡された。 そして早々に葬儀が行われ、納骨まで済まされた。まるで、急かされているような早さだ。 その後、うちの両親には、最善を尽くして捜査にあたるなどと公言していたが、実際に警察が動き出すことはなかった。 マスコミ各社には適当な情報を流し、犯人の情報を求めているが、それも表面上だけのこと。 全ては闇へ... 未解決事件となることは明確だった。犯人を探さず、意図的に悪を野放しにする... 正義もクソもない。こんなことが、許されていいのだろうか。 自分一人でも、必ず犯人を捕まえてやる... そう心に誓い、時中は水面下で動き始めた。 .
/688ページ

最初のコメントを投稿しよう!