6147人が本棚に入れています
本棚に追加
/851ページ
先輩の言う、必死でいっぱいいっぱいな私に比べて、なんだか余裕すら感じる。
『…駐車場』
『え』
『事務所の車にいるから、来て。
愛也ちゃんから見て、駐車場の右から6列目。
前から数えて7台目のシルバーのワゴン車。
それでも分からなかったら、また電話して』
そう言うと、先輩は電話を切ってしまった。
画面を見ると、もう10分も経っていて。
急いで駐車場に向かい、心の中で復唱しながらシルバーのワゴン車を探していると、似た様な車種が並ぶ中ひときわ艶々した1台の車が。
…あった!
少しずつ、その車に向かって足を進める。
ああ。
……緊張してきた。
ガチャ、と。
タイミングを合わせたかの様に、
後部座席のドアが開いて、先輩が現れる。
「正解」
柔らかな、あの笑顔を浮かべて。
最初のコメントを投稿しよう!