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先輩。
先輩…っ。
『……はい』
『…俺、愛也ちゃんを泣かせ過ぎだね。
…ごめんね』
少し涙声になった私の『はい』を聞いて、先輩は申し訳なさそうな声を滲ませる。
以前の私なら先輩に気を遣わせている…、と、思っていたけれど。
『私の事はどうだっていいです!
今、どこにいるんですか!?』
『ハハ。
…だめだ、完全に俺の負け。
やっぱり愛也ちゃんには勝てないな』
『もうっ。
訳の分からない事言ってないで、
教えてくださいっ』
『怒らないで。
俺の事で、必死になっていっぱいいっぱいな愛也ちゃんを、1ヵ月も見られないと思うと…辛いな』
『……』
何それ。
どうしてこんな時まで、そんなに意地悪なの?
ここまで、私がどんな思いで来たか…全然…分かっていない。
あ。
だめ…、泣く。
『…明日から、1ヵ月も会えないのに…どうしてそんなにいつも通りなんですか……』
『…いつも通り?』
私の発言に、なぜか急に低くなる先輩の声。
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