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『...お前が悪いんだ』
そう言葉を言い放つ男は、黒のスウェットに黒のパーカー姿でフードを頭に被り闇に同化していた。
足元にはフローリングの上で、うつ伏せになりながら血を流す若い女性が一人。
男の手には鋭い刃物が握られている。
刃物を持ったまま玄関に向かった。
動かなくなった主人を心配しているのだろうか。
カサカサと檻の中で音を発てながら閉められた柵の扉を開けようとしている一匹のうさぎ。
一部始終を観ていただろう愛らしいその赤い目。
うさぎは玄関から聞こえる物音と共に檻の中の寝床に身を隠した。
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