一回目

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ここは何処だろう。 気付くと全く知らない場所にいた。 見渡す限り何の建造物もなく、ただ空間があるだけ。 上には空があるわけでもなく、電灯がこの空間を照らしているだけ。 そして地面はアスファルトなところを見ると、どうやらここはどこかの建物の中らしい。 らしいというのは、上下は果てが見えたのに対し、横は全く果てが見えずにいるからだ。 360度見渡しても壁は見えず、霞んでいる。 俺の記憶の中には、残念ながらこんなだだっ広い場所は存在していない。 そこでふと気付いた。自分の名前が分からないのだ。 思い出そうとしても、まるで最初から覚えていないかのように全く思い出せない。 それどころか、年齢や住所、果ては性別まで思い出せない。 まるで自分に関する情報が根こそぎ抜け落ちたかのようだ。 見える範囲の体つきから察するに、どうやら男であるということが分かった。
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