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「…相変わらずでかくない?つかでかすぎない?」
弥高が首をほぼ真っ直ぐにしたまま呟く。
「かなり前からあったものですから…。なにか他の意味があるのかもしれません」
「結界的な?」
「いやいや、そんな魔法効果ないだろう。兄貴の頭ん中どんだけメルヘンチックだ」
少し失礼します、と渋谷は車を降りてポストになにか細工をする。すると城門がゴゥン…、と鈍い音で開き始めた。
「一々めんどくせー仕掛けだな。確かあれポストに見せかけたカードキーの読み取り場所なんだろ?なんで降りなきゃいけないんだよ」
いかにもめんどくさそうに呟く慧哉に、戻ってきた渋谷が苦笑する。
「露川家の敷地内には様々な貴重な資料がありますからね。敏感にもなるでしょう」
「って言ったって…」
弥高の目は前に向く。そこには、遥か先まで続く一本道が通った草原があった。
「…こんな広大な土地を用意する必要はあったのか?」
「「………………………」」
二人はなにも答えず、再び車は滑らかに発進した。少し経つと慧哉が眉を寄せて会話を再開した。
「…で、さっきの話に戻るんだけど」
「ああ。……なんで里璃は脱力したのか、だな」
「いやもう里璃ちゃんはいいよ。どんだけ気にしてんだ」
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