◆七夕◆

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「チェシャ猫?どうしたの?」 ぼんやりしているボクに気付いたのか、アリスは心配そうな顔をした。 「なんでもないよ、アリス。ところでお願い事は書かないのかい?」 「書くよ?はい、チェシャ猫の分」 と、アリスは長方形の緑色の紙を渡した。 あの頃と全然変わらない。 今も昔もアリスは変わらない。 今、あの頃の話をしても、アリスは覚えていないんだろうな。 「チェシャ猫。書けた?」 「書けたよ。」 「じゃあ、飾ろ!」 アリスはあの頃と変わらない笑顔を見せる。 アリスは、背伸びをして願い事を書いた紙を笹に付けていた。 ボクはアリスの紙の隣に紙を付けた。 「ねぇ、チェシャ猫?」 「なんだぃ?アリス。」 「チェシャ猫はなんてお願いしたの?」 「……本当に変わらないんだね…。」 「え?」 「なんでもないよ。アリス。お願い事かい?」 「うん。」 「アリスが教えてくれるならいいよ。」 「え!///」 顔がみるみる赤くなっていく。 「……。なんて書いたの?アリス。」 「……みんなと一緒にいられますようにと…。」 「…と?」 「……。///」 アリスはボクの顔を見ないように下を見て囁くように言った。 「…ち、チェシャ猫と一緒にいられますように…////」 「!!」 驚いた。アリスもボクと同じようなことを書いていた。 アリスもボクも少しわがままになったのかもしれない。 「チェシャ猫はなんて書いたの///?!」 少し恥ずかしがってそっぽを向くアリス。 「……。」 「チェシャ猫?」 何も言わないボクにアリスは少し疑った目でボクを見た。 「うわぁ!///」 ボクはそんなアリスを強く抱きしめた。 「ち、チェシャ猫!!///離して!離して!///」 ボクの腕の中で暴れるアリス。 「やだ。」 「チェシャ猫!!///」 「ボクも…」 「え?」 アリスにしか聞こえないような小さな声で言う。 「ボクも…アリスと一緒にいられますようにって…」 アリスは、恥ずかしがっているのか、顔をボクの胸にうずませた。 ボクの可愛いアリス。 君はボクの知らない内に大きく成長しているんだね。 それがボクには少し悲しくて、嬉しい。 アリス、アリスがずっと笑っていられるように、ずっとボクといられるように、ボクはアリスを守り続けるよ。 →あとがき
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