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「チェシャ猫?どうしたの?」
ぼんやりしているボクに気付いたのか、アリスは心配そうな顔をした。
「なんでもないよ、アリス。ところでお願い事は書かないのかい?」
「書くよ?はい、チェシャ猫の分」
と、アリスは長方形の緑色の紙を渡した。
あの頃と全然変わらない。
今も昔もアリスは変わらない。
今、あの頃の話をしても、アリスは覚えていないんだろうな。
「チェシャ猫。書けた?」
「書けたよ。」
「じゃあ、飾ろ!」
アリスはあの頃と変わらない笑顔を見せる。
アリスは、背伸びをして願い事を書いた紙を笹に付けていた。
ボクはアリスの紙の隣に紙を付けた。
「ねぇ、チェシャ猫?」
「なんだぃ?アリス。」
「チェシャ猫はなんてお願いしたの?」
「……本当に変わらないんだね…。」
「え?」
「なんでもないよ。アリス。お願い事かい?」
「うん。」
「アリスが教えてくれるならいいよ。」
「え!///」
顔がみるみる赤くなっていく。
「……。なんて書いたの?アリス。」
「……みんなと一緒にいられますようにと…。」
「…と?」
「……。///」
アリスはボクの顔を見ないように下を見て囁くように言った。
「…ち、チェシャ猫と一緒にいられますように…////」
「!!」
驚いた。アリスもボクと同じようなことを書いていた。
アリスもボクも少しわがままになったのかもしれない。
「チェシャ猫はなんて書いたの///?!」
少し恥ずかしがってそっぽを向くアリス。
「……。」
「チェシャ猫?」
何も言わないボクにアリスは少し疑った目でボクを見た。
「うわぁ!///」
ボクはそんなアリスを強く抱きしめた。
「ち、チェシャ猫!!///離して!離して!///」
ボクの腕の中で暴れるアリス。
「やだ。」
「チェシャ猫!!///」
「ボクも…」
「え?」
アリスにしか聞こえないような小さな声で言う。
「ボクも…アリスと一緒にいられますようにって…」
アリスは、恥ずかしがっているのか、顔をボクの胸にうずませた。
ボクの可愛いアリス。
君はボクの知らない内に大きく成長しているんだね。
それがボクには少し悲しくて、嬉しい。
アリス、アリスがずっと笑っていられるように、ずっとボクといられるように、ボクはアリスを守り続けるよ。
→あとがき
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